戦国武将たちが愛した銘酒が、時を経てここに復活!!

幻の酒 江川酒

推し旅

信長・秀吉・家康も嗜んだ江川酒を味わう

申込期間は終了しました

江戸時代に失伝された幻の銘酒「江川酒」。その醸造方法を記した書物が320年の時を経て発見され、地元の有志の手で復活された、一般には流通されない酒を味わえます。

北条早雲が名付け、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も味わった江川酒(えがわしゅ)。有名な「醍醐の花見」でも振る舞われたこのお酒は、江戸時代に醸造が中断したものの、2020年5月に当時の醸造方法について記した「御手製酒之法書」が発見され、約320年ぶりに少量が再現生産されました。今年度は、江川酒についての学び、その味わいを楽しむプランをご用意。さらに来年度以降は、地域おこしをする方々とともに醸造にまで関わることのできるプランをご用意する予定です。

ポイント

日本酒を味わい、学ぶプランと
醸造に携わる楽しさまでをプラスしたプランをご用意

本プランでは、まず重要文化財・江川邸にて一般流通しない江川酒を味わい、「御手製酒之法書」特別公開とあわせて学芸員から文化財保護の取り組みについて解説を受けます。来年度以降の商品では、酒米の田植え、稲刈りをはじめ、江川酒の醸造そのものに携わるプランの造成を別途予定しています。

発売日: 2021年11月1日(月)
申込み締切日: 設定日の3日前
開催日: 2021年12月11日(土)、
2022年1月15日(土)、2月11日(金・祝)、
2月12日(土)、3月12日(土)(計5日間)
定員: 20名 / 各日
会場: 重要文化財・江川邸(静岡県伊豆の国市)
旅行代金: おとなお一人様 10,000円(税込)

メッセージ

-人と人の出会いが文化を受け継ぐことにつながる-

「江川酒(えがわしゅ)」は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など名だたる武将を魅了した幻の名酒です。この酒を鎌倉時代から醸していた一族が、伊豆韮山に居を構えた江川家。江川酒の醸造が途絶えてからおよそ320年の時を経て、2020年5月に国指定重要文化財「江川邸」で製法書を発見、復元プロジェクトが始動しました。

2021年度の「推し旅UPDATE」ツアーでは、江川邸にて一般流通しない江川酒を味わい、「御手製酒之法書」特別公開とあわせて、財団法人江川文庫学芸員の橋本敬之さんから文化財保護の取り組みについて解説を受けます。奇跡の復活を遂げた江川酒を知り、味わい、文化を楽しむ――。伊豆の偉人、幕末の万能人と称される江川家36代当主、江川英龍の業績を伝えるために設立された「江川英龍公を広める会」の発起人の一人でもある橋本さんにお話を伺いました。

―2020年5月に、江川酒の製法書「御手製酒之法書」が発見されてから、復元プロジェクトが動き始めるわけですが、そもそもこちらのプロジェクトが立ち上がった背景をお聞かせください。

橋本さん:江川文庫には膨大な史料があるんですが、私はひとり学芸員なものですから、普段は来客や取材の対応に追われてしまい、整理する時間がとれずにいました。ところがコロナ禍により、江川邸はしばらく閉館せざるを得なくなりまして……。かねてから私は、江川家に関係する料理の本を編纂したいと考えていたので、逆にこれはいいチャンスだと思いました。食事のことを書くなら、お酒のことも書かなければと思っていた矢先、この「御手製酒之法書」を見つけ出すことができたわけです。

―コロナ禍で生じた時間を、前向きに捉えた結果ですね。見つけた時の喜びはひとしおだったのではないでしょうか?

橋本さん:思わず声が出ました。それほど嬉しかったですね。探していた史料が見つかったこと、さらには、これで念願の本が書けるという喜びもありました。

―江川家では鎌倉時代から酒を醸造していたそうですが、その復元には地元の万大(ばんだい)醸造さんのご尽力も大きかったと思います。当時のお酒の再現にあたって、杜氏さんとのやり取りはどのようなものがあったのでしょうか?

橋本さん:製法書を現代語に翻訳して杜氏さんに渡すと、ぱっと見るなり、これは酸っぱい酒になると仰いました。なぜなら、江川酒の製法は、現在の日本酒の製法と比べて使用する米麹の量が多いからです。ところが、今年4月に開催した「江川邸パンフェスタ」の試飲会時に完成したお酒を飲んでみると、決して酸っぱい味ではない。むしろ、甘味を感じる旨い酒で、実際にテイスティングしたお客さんからも「おいしい」と大変好評でした。不思議に思って杜氏さんに聞くと、酸味と甘味の絶妙なバランスでこの旨さが出るのだと仰っていて、なるほどなぁと思いました。

杜氏さんは江川酒復元に際し、これが自分の最後の仕事とまで言ってくださり、専用の酒槽(酒を搾る道具)を製法書通りに作ってくださいました。とても嬉しかったのと同時に、江川酒を次の世代まで繋いでいくことも私の使命だと痛感しました。受け継ぎ広めることが、文化を作るということですから。

―江川酒の味わいは、古典醸造ならではの複雑な発酵経路を辿り、甘味と酸味が絶妙なバランスで融合しているのですね。「今までにない濃密な味わい」だとも伺いました。受け継がれてきた文献をもとに蘇った当時の味を知ることで、文化財保護の重要性を実感する人も少なくないはずです。

橋本さん:私もそこが大切だと思っています。かつて文化財は、大切にしまっておくものでした。でも人の前に出さなかったら、その価値をわかってもらうことはできませんよね。今回の「推し旅UPDATE」ツアーを通じて、多くの方々に江川邸をはじめ江川酒や「御手製酒之法書」の存在を知っていただくことで、文化財を守り、文化を受け継いでいくことの大切さに気づく、そのきっかけになればと願っています。

―お酒に欠かせないおつまみも気になるところですが、江川家の食卓にはどのような料理が並んでいたのでしょうか。

橋本さん:ちょうど宝永大噴火(1707年)の頃に書かれた献立表も見つかっているのですが、そこには干し鯛や鯛の味噌漬けを作っていたという記述がありました。こういった江川家の料理も、復元してみようと試みています。

―江川酒を軸に、今後の展開もアップデートされていきそうですね。

橋本さん:他にも、江川酒の酒粕を使ったわさび漬けや、江川酒と同じ酵母で作るパン祖(兵糧パンを考案した江川英龍はパン祖と呼ばれている)のパンなども展開できたらと思っています。(徳川)家康公にちなみ、そのパンをバンズにして駿河湾名物の桜海老をかき揚げにしてはさんだバーガーも開発中です。いま熟成させている江川酒の粕取焼酎は、来年度の「推し旅UPDATE」ツアー時には完成しているかもしれません。

―それは今から楽しみですね。2022年度の「推し旅UPDATE」ツアーでは、お酒に使用するお米の田植えや稲刈りをはじめ、江川酒の醸造そのものに携わるプランも予定されています。橋本さんご自身、本キャンペーンにはどのような想いがありますか?

橋本さん:研究や学問の価値とは、人を幸せにすることだと思います。この考え方こそ、私が英龍公から学んだ一番の教えです。ですから「推し旅UPDATE」ツアーでは、参加して楽しかったなぁという気持ちを、みなさんと共有できればと思っています。これまでは地元の有志40名ほどに集まっていただき、田植えや稲刈りを行なってきました。それが今年度からは、ツアーに参加する県外の方々も、ここ韮山にいらっしゃる。

自分だけではできないことも、誰かの力を借りて実現できたら嬉しいですよね。そういうことをひとつひとつ共有して、みんなで次の何かを作っていけたら、それが文化になるわけです。文化を拡げていくには、外部の方々の力を借り、交流していくことはとても大切なこと。コロナ禍でオンラインによる交流が推奨されましたが、やっぱりみんなで声を発し、表情を見ながら話すからこそ得られることはたくさんあります。引き続き感染防止対策を講じながら、人と人との輪を作っていきたいと思っています。

■お話を伺った方
江川酒復活のキーマン
橋本敬之さん
(財団法人江川文庫学芸員)

■施設名
重要文化財 江川邸
静岡県伊豆の国市韮山韮山1番地
TEL: 055-940-2200 TEL: 055-940-2200